現在ホワイトニング治療法としてはオフィスホワイトニング法、ホームホワイトニング法、両者を併用した方法がある。
【1】オフィスホワイトニング法
診療室で35%過酸化水素を漂白したい歯に塗布することで歯を白くする治療法である。
1ないし数回の治療でかなりの程度まで白くすることができ、また歯科医が治療状況を100%把握できるので患者に対するきめ細かい対応が
可能となる。
しかし問題点として、
1 治療に当たっては細心の注意が必要
本治療には高濃度の過酸化水素を使用するので、一滴でも歯肉など軟組織に付着すると激烈な痛みを生ずる。
そのため患歯以外を十分にシールドしなければならない手間が必要となる
2 痛みが出やすい
高濃度の過酸化水素により歯髄の刺激(疼痛)を起こしやすい
3 チェアータイムが長い(少なくとも1時間は必要)
通常1回の来院で過酸化水素を患歯に約15分程度塗布する操作を3から4回繰り返すためチェアータイムが長くなる
4 過酸化水素の効果を高めるための熱源が必要
過酸化水素の漂白能を高めるための熱源を必要とするため、初期投資が必要となる
5 白濁した白さとなる
高濃度の過酸化水素により漂白した歯は、いわゆる「すりガラス状」の白さとなり、光沢を失なってしまう
6 「後戻り」を起こしやすい
オフィスホワイトニングで漂白した歯は、治療後比較的短期間で着色する「後戻り」を起こしやすい。
オフィスホワイトニングは短期間で歯を白くすることができるものの現在まだ多くの問題点を抱えていることから、この治療法の選択は慎重であるべきと思われる。
近年高濃度の過酸化水素が有する副作用を低減させるために低濃度の過酸化水素と酸化チタンを併用したオフィスホワイトニング法が開発された。(*下記参考文献<1>)
しかし酸化チタンの漂白力は弱く、紫外線を照射しなければ漂白効果が出現しない、さらに酸化チタン自体に遮光性があるため外から光を照射しても内部(歯牙に接している酸化チタン)には光が届かない、などの問題点があり、これらの問題点を克服すべく種々の試みがなされてきた。(*下記参考文献<2>〜<5>)
その結果2007年度より酸化チタンと低濃度過酸化水素(3.5%)を併用したオフィスホワイトニング用漂白剤も市販されるようになってきたので、高濃度過酸化水素を用いることによる副作用はこれから減少するものと思われる。
しかしながらホームホワイトニングに比べると長時間のチェアータイムが必要であること、光照射装置が不可欠であることには注意する必要があろう。
【2】ホームホワイトニング法
ホームホワイトニングによる漂白は個々患者の歯型に合わせて作製されたプラスチックトレーへジェル状の漂白剤(通常十数%の過酸化尿素)を分取し歯に装着することにより可能となる。
オフィスホワイトニングに比べると痛みの出現率は低く、特別な設備を必要とせず、チェアータイムも短い、さらに輝く自然な白さに仕上るという利点がある。
また高濃度の過酸化水素を利用したオフィスホワイトニングで見られる歯の白濁はなく、光沢を持った白い歯に仕上げることが可能である。
しかしホームホワイトニングの問題点として、
@オフィスホワイトニングに比べ治療終了までに長い期間を要する
オフィスホワイトニングでは漂白剤として過酸化水素を使用し短期間で患者が満足する白さにすることが可能である。
一方ホームホワイトニングでは漂白剤として過酸化尿素を使用している例が多く、過酸化尿素は過酸化水素に比べ漂白力が弱い(同じ濃度であれば過酸化尿素の漂白力は過酸化水素の1/3である)ために、
通常数週間から数ヶ月を治療に要する。
A操作が煩雑
ホームホワイトニングでは患者自身が毎回漂白剤を専用トレーに分取し、漂白後は自分で漂白剤をきれいに除去しなければならないという煩雑な操作が必要となる。
短期間であればそれほど問題はないが数ヶ月に及ぶ長期間では患者にとって負担が大きいと考えられる。
B治療の結果は患者の意欲に左右される
治療の効果は患者自身の意欲に大きく依存しているため患者ごとの治療効果に大きな差が出やすい。
C漂白剤がジェル状なためトレーから流れ出しやすい
漂白剤に流動性があるためトレーから流れ出し飲み込む危険性がある。そのため長時間の使用は難しく日本で許可となっているホームホワイトニング用漂白剤の
1回の使用時間は2時間とされている。
D歯頚部の漂白が難しい
漂白剤に流動性があるため、歯頚部を覆っている漂白剤が容易に流れ出してしまうため歯の切端部に比べ歯頚部の漂白が進行しない。
E特定の歯の漂白が難しい
漂白剤に流動性があるため拡散しやすく、特定の歯だけを漂白することが難しい。
ということが挙げられる。
しかしオフィスホワイトニングに比べると総合的には優れていると考えられる。
実際アメリカで行われているホワイトニング治療のほとんどがホームホワイトニング法である。
さらに近年はオフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用して漂白効果を高める工夫もなされるようになってきている。
以上のように現在行われているホワイトニング治療法を分析してみると注目すべきことは、いすれの方法でも漂白剤が液体あるいは流動体であるために使い勝手、
漂白効果に問題があるという点である。
そこで筆者らはこの問題を解決するために、過酸化水素を固定化する技術を応用して新しいホワイトニングシステムを開発した。
【参考文献】
<1>日本国特許3030380号
<2>日本国特開2004−292429
<3>日本国特開2005−3432813
<4>日本国特開2006−169121
<5>日本国特開2006−316204
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